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Patents, Copyrights, TM/Trade Dress, Licensing, Computer Software, Cyberspace Law, Antitrustその他に関する事項をTopics ごとに載せてあります。


インデックス

  1. 特許無効を争えないとする契約は有効か?
  2. 特許の間接・寄与侵害は特許の特設侵害の存在を前提とするか?
  3. 英語を理解できない者が宣誓書にサインした場合は、特許は権利行使不能となるか?
  4. 直接見えない物品デザイン特許の対象となるか?
  5. 裁判とインターフェアレンスが並行した場合、インターフェアレンスが終わるまで裁判を停止できるか?
  6. 均等論における補正による出願経過禁反言の適用有無の審理手法
  7. inequitable_conduct
  8. on-sale_bar
  9. 当事者適格(standing)
  10. Transition Phrase
  11. 特許の実施はアメリカ国外で行われていても、アメリカ国内でその実施の契約をした場合は、特許の侵害になるか?
  12. Inurementとderivation
  13. インターフェアレンス
  14. インターフェアレンスのおける "patent claim"と"application claim"と"count"
  15. 発明の発想(Conception of Invention)と発明の実施化(Reduction to Practice)
  16. トレードドレスと機能性、トレードドレスと特許対象物
  17. デザイン特許と機能性
  18. 連邦地裁での特許侵害訴訟とITCでの337条輸入差し止め請求の同時係属
  19. 技術分野の専門家意
  20. 訴訟で一度無効と判断された特許を有効利用(再度権利行使)する手段はあるか
  21. Claim Preclusion in Patent Case (特許事件における請求遮断効)
  22. ベストモード(Best_Mode)
  23. Mootness_と_Vacatur
  24. Preambleの解釈
  25. Equitable Estoppel
  26. Laches(懈怠)
  27. ミーンズプラスファンクションの記載要件
  28. クレームされていない要件に関するベストモード
  29. Judiciary created obviousness-type double patenting; One-way test vs. Two-way test
  30. フェスト事件の最高裁でのヒアリング
  31. ミーンズ・プラス・ファンクションと均等論
  32. 訴訟途中での和解
  33. ディスカバリーでの書類
  34. フェスト事件の考察
  35. 補正された構成要素に関する均等論の適用の判断手法

 

Others(Topics) à 05/30/2002 更新

35. 補正された構成要素に関する均等論の適用の判断手法

 

補正がされているか?つまり補正がなされた構成要件と均等が問題とされている構成要件が同じであるか?

  均等論の適用に対してそれを妨げる出願経過禁反言(prosecution history estoppel、以下エストッペルと言う)が適用されるためには、均等が問題となっている構成要件が補正により加えられていることが必要である。(補正以外にも主張によるエストッペルがあるが今回は議論を割愛する)

 

減縮補正であるか?また、補正が特許性に関する実質的理由にかかる補正であるか?

  エストッペルを適用して均等を排除するためには、ワーナー・ジェンキンソン事件で示されたように、補正が特許性に関する実質的理由による補正(substantial reason related to patentability)でなければならない。

  今回のFestoの判決により、「特許性に関する実質的理由による補正」でいう特許性とは特許法上の全ての要件に関するものである。従って、先行技術に関する102条、103条に限らず、112条、101条の要件に関する補正もその対象となる。

最高裁は、”We agree with the Court of Appeal that a narrowing amendment made to satisfy any requirement of the Patent Act may give rise to an estoppel”と述べている。従って、エストッペルのためには、補正は特許性に関する補正であると同時に減縮補正でなければならない。CAFCも、自身でのFestoの判決以降、補正が減縮する補正であるかをまず検討しており、減縮する補正でなければ、エストッペルを構成せず均等論を排除しないとして均等を認めている。すなわち、減縮補正は特許性に関する実質的理由による補正の一部ではあるが、エストッペルを適用するためには減縮補正という要件が一つ加わったとも言える。よって、補正が特許の範囲を減縮するものであるか否かが次の判断となる。減縮する補正であるか否かは、最終的には裁判所が判断することになり出願人の意図は関係ないが、意見書の中で「この補正は特許の範囲を減縮するものではない」と主張しておくこともできる。書くことに効果は殆ど期待できないが、書くことによって不利益はなさそうである。

  また、以前から実務で行なわれていた、「この補正は明確化のためでありと特許性とは関係ない」との意見書中での主張であるが、注意を要する。今回の最高裁の判決で、112条に関するものでも特許性に関係する補正であると示された。従って、審査官から発明が不明確であるとか曖昧であるとかの拒絶理由を受けた場合の応答において上記のようなことを書いても意味が無くなってしまう恐れが大いにある。「この補正は単に発明を明確化するためのものであり特許の範囲を減縮するものではなく特許性とは関係ない」とすべきなのかもしれない。今回最高裁も、”If a §112 amendment is truly cosmetic, then it would not narrow the patent’s scope or raise an estoppel. On the other hand, if a §112 amendment is necessary and narrows the patent’s scope – even if only for the purpose of better description – estoppel may apply.”と述べている。従って、これは既にCAFCの最近の判決で示されていることではあるが、112条の補正であっても特許の範囲を減縮するか否かが問題となる。また最高裁は、” even if only for the purpose of better description”と述べていることにも注意する必要がある。単により良い表現に変えただけでも、言い換えれば発明を判りやすく表現しただけでも、それが必要で特許の範囲を減縮するものであればエストッペルの適用が問題となる。ここの記載は、発明が不明確である(unclearnon-operable)とか曖昧である(ambiguous)とかの拒絶理由に対する補正であってもそれが特許をとるために必要でありかつ特許の範囲を減縮するものであればエストッペルの適用が問題となるといっていると理解できる。

  一方、今回最高裁は、truly cosmeticな補正はエストッペルを構成しないと明確に示した。これは実務にとって朗報である。CAFCFesto判決以降は、審査官により独立クレームが拒絶されたが従属クレームが許可を受けた場合、従属クレームの構成要件を独立クレームに取り込む形の補正をしても均等は排除されてしまうのかという議論もあった。これに関しては、これらの補正は明らかにtruly cosmeticなものであるから、均等の適用を排除しないと考えて問題はなさそうである。

 

2−1.減縮補正であった場合、補正の理由は何か?

補正が特許の範囲を減縮するものであった場合、エストッペルの適用の可能性が出てくる。裁判所はまず審査経過を見て、補正の理由を探すことになる。補正の理由が出願経過から明らかである場合は、それに基づいて判断がなされる。もし、補正が特許性に関する実質的な理由でないと裁判所が結論すれば均等論の適用がある。一方、補正が特許性に関する実質的な理由である裁判所が結論すればエストッペルが適用されて均等論の排除されます。CAFCFesto判決以降の地裁判決で、特許権者は意見書の中で、補正は発明の明確化のだめである特許性(102条、103条の理由)とは関係ないと述べていたが、裁判所はその補正は実質的に先行技術を回避するためのものであると認定できるので、エストッペルにより均等は排除されるとなった事件がある。従って、意見書中に「この補正は単に発明を明確化するためのものであり特許の範囲を減縮するものではなく特許性とは関係ない」と書くことは可能であるがどこまで有効かは定かでない。また、112条の要件に関しても、いくら意見書の中で主張してあっても、裁判所が、補正が112条の要件の特許性に関する実質的理由によるものであると認定すれば、エストッペルが適用されて均等論の排除されるでしょう。

  もし裁判所が補正の理由が判らなかった場合は、補正が特許性に関する実質的理由によるものであるとの推定がはたらき、特許権者側がそうでないことの立証責任を負うことになる。

  余談ですが、この判断においては難しい問題が残っています。例えば、「アルミニウムからなる回路基板」という要件を補正によりクレームに追加したとします。実際は、「回路基板」は特許性を出すためには必要であるが「アルミニウム」は過剰な限定であったとします。この場合、「アルミニウムからなる回路基板」は一つの補正であるから切り離さず、補正が特許性に関する実質的理由によるものであるとして、エストッペルにより均等は無しとするのか、あるいは、特許性に関する実質的理由による補正とは「回路基板」の部分のみであってアルミニウムはそれには該当しないとして均等の適用があるのかという問題があります。後者であれば、以下の3で述べる、補正時においてどうであったかという判断がなされることになります。意見書中に「この補正は均等を放棄するものではない」と書いた場合にどのような効果があるかは微妙なところです。「回路基板」の部分については、意見書中にどのように書こうが均等が無いのは明らかです。アルミニウムの部分については微妙です。もし、上記の補正が先行技術を回避するために行なわれたのであれば、「アルミニウムからなる回路基板」が先行技術と特許の発明を区別する要件だと意見書中で主張するでしょうしまた審査官もその要件を根拠に特許を許可するでしょうから、必要以上に補正したとしても均等は働かないでしょう。以前(相当前の)CAFCで用いられていたFlexible Bar であると、何が特許性に必要で、何を発明者が放棄したかを検討し、必要以上の補正の場合、必要以上に補正した部分には均等の余地がありましたが、今までのCAFCの判決の流れと今回の最高裁の判決を見ても、そこまでは均等論に有利な状態には戻らないでしょう。一方、112条の拒絶理由を回避するための補正であった場合は、出願経過からははっきりしなくなる可能性があります(アルミニウムが必要ないと補正時にわかっていればそれを補正で入れることはありえないので、出願経過からは理由がはっきりしなくなると考えられる)。そうすると、推定が働き、以下の3の判断になると思われます。

 

. 補正が特許性に関する実質的理由によるものであるとの推定を覆せるか?

  最高裁は、特許権者が反論可能な推定を覆すためには、「補正時において当業者が問題となっている均等物を文言上含むようなクレームを立案できたとは合理的に期待できないということを示さなければならない」(”The patentee must show that at the time of the amendment one skilled in the art could not reasonably be expected to have drafted a claim that would have literally encompassed the alleged equivalent.”)と述べている。つまり特許権者が、問題となっているイ号物件中の均等物を、補正時において当業者が予測できなかったことを証明しなければならない。できることを証明するより、できないことを証明する方が格段に困難であるので、この立証責任は、特許権者にとってはかなりの負担となるであろう。証明は、補正当時の当業者の理解を示す文献や専門家の意見を提出することになると思われる。一方、被告は、補正時において当業者が予測できたことを証明しようとする。この場合被告に要求されるのは、予測できたことそのものを証明するのではなく、特許権者が予測できなかったことを十分に証明できない程度までで足りる。被告も同様に、補正当時の当業者の理解を示す文献や専門家の意見を提出することになると思われるるが、それ以外に発明者の当業者の一人であるから、発明者のメモやノート等を使って問題となっている均等物を予測できたと主張することも考えられる。

  その結果、特許権者が補正時において当業者が予測できなかったことを証明し得れば均等の適用がなされる。特にパイオニア発明に関しては予測が困難であるので均等の適用の可能性が高いと思われる。

 

 

Others(Topics) à 05/29/2002 更新

34. フェスト事件の考察

  フェスト事件の最高裁判決により、実際どのようなことが今後問題となりそうか予測してみます。(あくまで個人的に勝手に予測してみますので、間違えがあってもまたそれに起因して損害が生じても責任は負えませんのでご了承ください)

  判決の中で最高裁は以下のように言っています。

  特許権者が反論可能な推定を覆すためには、「補正時において当業者が問題となっている均等物を文言上含むようなクレームを立案できたとは合理的に期待できないということを示さなければならない」(”The patentee must show that at the time of the amendment one skilled in the art could not reasonably be expected to have drafted a claim that would have literally encompassed the alleged equivalent.”)。16ページ第二パラグラフ。言い換えれば、当業者がその均等物を文言上含むようなクレームを立てられたにもかかわらず立てなかった場合は均等の適用はないということになります。

例をあげて考えてみたいと思います。例えば、明細書中にプリント回路基板の材料として「アルミニウムが好ましいがステンレススチールやニッケル合金などの金属も使用できる」と書いてあったとします。補正が必要となり(先行技術を回避するためでも112条のためでも構わないが)、クレーム中にプリント回路基板を構成要件として追加しなければならなくなったと仮定します。その際、誤って「アルミニウムからなるプリント回路基板」との追加の構成要件を補正によりクレーム中に入れたとします。そして、被告が「ステンレススチールからなるプリント回路基板」を使っていたとします(もちろん被告の製品は他の構成要件を含んでいる)。侵害を主張するためには、均等論に基づく侵害主張しかありません。このような例では、今回の最高裁の判決に基づくと均等は認められないことになります。なぜなら、特許権者(発明者)は、アルミニウムからなるプリント回路基板以外にもステンレススチールやニッケル合金からなるプリント回路基板も補正時に理解していたことになります。特許権者=当業者とは100%言い切れませんが、当業者がそのように補正時に理解していたとなります。そうすると、当業者が「ステンレススチールやニッケル合金からなるプリント回路基板」を文言上含むクレームを立案することは補正時に予測されることです。従って、均等の主張は許されないことになります。ところが、被告がそれ以外の金属を使っていたとします。例えば、出願後に新たにプリント回路基板に適すると判った金属を使っていたとします。その場合は、当業者がその金属からなるプリント回路基板を文言上含むクレームを立案することが合理的に予測できたか否かが問題となります。おそらく無理でしょうから、均等の範囲に入る可能性が大です。

次に明細書中に何も書いてなかった場合はどうなるかという問題があります。上記の例でいうと、明細書中にはプリント回路基板の材料として「基板の製造に通常用いられる金属が使用できるが、アルミニウムが好ましい」としか書いてなかったとします。補正が必要となり(先行技術を回避するためでも112条のためでも構わないが)、クレーム中にプリント回路基板を構成要件として追加しなければならなくなったと仮定します。その際、誤って「アルミニウムからなるプリント回路基板」との追加の構成要件を補正によりクレーム中に入れたとします。そして、被告がステンレススチールからなるプリント回路基板を使っていたとします(もちろん被告の製品は他の構成要件を含んでいる)。侵害を主張するためには、均等論に基づく侵害主張しかありません。このような例では、今回の最高裁の判決に基づくと、当業者が「ステンレススチールからなるプリント回路基板」を文言上含むクレームを立案することが合理的に予測できたか否かが問題となります。これは内部資料(出願経過)のみからではおそらく結論は出せないと思われます。ではどうなるかというと、以下のようなことが争点になると思われます。補正時においてその分野の当業者がどのように理解していたか、つまり、アルミニウムとステンレススチールを基板材料として同じように考えており、一方にみを選ぶのはそれに限定する意図があったのか。これに関しては、専門家による意見(Expert Opinion)を用いて裁判で両当事者が主張しあう形になると予想されます。また、発明者は当業者の一人でもありますから、発明者がどのように理解していたかが問題とされる可能性もあります。つまり、ディスカバリー等で発明者のノートやメモを探し出し、発明者がアルミニウムとステンレススチールを基板材料として同じように考えていたにもかかわらずアルミニウムのみしかクレームしなかったことを示せば、補正時において当業者が「ステンレススチールからなるプリント回路基板」を文言上含むクレームを立案することを合理的に予測できたことを支持し得る証拠にもなります。このように裁判において、すぐには結論が出せない泥沼の(?)戦いが待っているような気がします。

  しかし、最高裁は「当業者」がどう見るかと示したことにより、特許権者(発明者)の主観的意図は関係なくなったと言えます。これは、最高裁がワーナー・ジェンキンソン事件で示し、CAFCが盛んに言っていた公衆への“notice function”につながるものでもあります。

  最後に、以上述べたように、反論可能な推定が働くため補正が特許性と関係ないということの立証責任は特許権者にあり、特許権者が「当業者が均等物を予測できなかった」ということを証明しなければならないので、特許権者側にはかなりつらいものには変わりがありません。

 

 

Others(Topics) à 03/08/2002 更新

33. ディスカバリーでの書類

訴訟のディスカバリーで相手方に開示する書類は一般に、(1)公知の資料(メモ等が書かれていない特許公報等)、(2)”confidential”資料、(3)”attorney’s eyes only” (外部の弁護士であって社内弁護士はこれに入らない)の3つに分けられます。この他に開示されない書類として、秘匿特権がある書類や第三者守秘義務のある書類があります。本来なら弁護士しか見てはいけない相手方の書類(”attorney’s eyes only”)を、当事者に見せたとして、法律事務所が制裁を受けました。Federal Register, Vol. 67, No. 32, Feb. 15, 2002, pp. 7196-97 リンクはこちら

 

 

Others(Topics) à 02/03/2002 更新

32. 訴訟途中での和解

Biogen Inc.社とBerlex Laboratories Inc.社が現在争っている細胞壁の硬化の治療医薬に関しての特許訴訟で和解しました。Biogenはヒトベータインターフェロン製剤であるAvonexを、一方Berlexは同様の製剤であるBetaseronがを胞壁硬化治療薬として認可を受けています。Berlexが特許を持っており、ニュージャージ地裁の裁判では、Biogenに軍配があがり非侵害との判決が出ました。その後、Berlexが控訴して現在係争中です。和解内容によると、Biogen2000万ドルを払ってロイヤリティ無しの通常実施権を受けることになっています。しかしその和解契約ではさらに取り決めがあり、もし控訴裁でBiogenに不利な判決がでて地裁に差し戻された場合は5500万ドルを払うとなっており、もし控訴裁でBiogenに有利な判決が完全に覆された場合は23000万ドルを支払うとなっています。Biogenは控訴裁でひっくり返ることはありそうにないといっています。ニュースのリンク

(コメント)和解の仕方の一例としてご参考ください。判決を待つ状態では両者とも判決がこうであるとは断言できない不確定要素があります。ですから、被告が勝つ可能性が高いと思っていても100%とは断言できないので、もし負けたら製品の販売を中止せざるを得なくなってしまうかも?という不安材料がどうしてもあります。一方不利な側も、今まで膨大な費用を掛けて訴訟をしているわけですし、まだ望みはあるわけですからおいそれとは引き下がれません。両者とも訴訟は継続したくないのは同じだと思いますが、判決が出てしまい自分に不利な結果となればさらに続けざるを得なくなるかもしれません。、ですから、判決ができる前に上記のような和解をすることは、不必要な訴訟の継続を防いで費用を節約でき、また両者にとってある意味では“Win-Win”な状態となります。今回は、被告が有利な状態で和解となりましたが、原告が有利な状態でも同じように和解が可能と思います。その場合は、基準のロイヤリティが一番高くて控訴裁の結果に応じて下がっていく形になります。

 

 

Others(Topics) à 01/23/2002 更新

31. ミーンズ・プラス・ファンクションと均等論

ミーンズプラスファンクションクレームにおいては、クレーム範囲に入るためには、ミーンズクレームに対応する明細書中に開示された構造と均等な構造が同一の機能を果たさなければならないと規定されている。従って、クレーム中のミーンズの要件に関しては、均等侵害を判断する際でも、明細書中に記載された構造の均等物はクレームと同じ機能を達成しなければならず、明細書中に開示された構造の均等物がクレームされた機能と均等の(実質的に同じ)機能を達成する場合は、§112 ¶6があるため均等侵害とはならない。なお、明細書に記載された構造の均等物が同じ機能を達成する場合は、均等侵害ではなく§112 ¶6の下での文言侵害である。

しかしながら、被告製品がクレームされた機能と同じ機能を達成しない場合、それによって即、均等侵害がない、という結論にはならない。確かに、クレームされた機能を達成する明細書中に記載された構造と均等の構造がクレームされた機能を達成するか否かの議論の際には、同一の機能を達成することが要求され、そうでない場合は§112 ¶6の下で文言侵害でないと同時に均等侵害でもない。しかし、被告製品がミーンズ・プラス・ファンクションクレームに関わる部分の構成要件(ミーンズの要件)ではなく他の構成要件の均等物を用いたために、被告製品はクレームされた機能と実質的に同一の機能を果たす場合がある。このような場合は、被告製品が同一の機能ではなく実質的に同一の機能を果たす場合であっても均等侵害が成立する。この場合は、§112 ¶6の下での文言侵害はないが均等侵害があるという結論になる。

 

 

Others(Topics) à 01/13/2002 更新 01/14/2002  ヒアリングの記録謄本が手に入ったのでそれを読んで訂正・加筆を行ないました)

30. フェスト事件の最高裁でのヒアリング

18日に最高裁でフェスト事件のヒアリングが開かれました。凄い人出だったそうで、一般人として傍聴しようとした人は時間入れ替え制になったそうです。ヒアリングの内容についてはもう既にいろいろなところからその内容が伝えられていると思います。近日中に記録謄本がウェブサイト等に公開されると思います。

  フェスト側のBork弁護士が最初に口頭弁論を行い、次に政府の代理のWallace弁護士が弁論を行い、最後に焼結側のNuestadt弁護士が弁論を行ないました。

上告したフェスト側の主張は、フェスト事件のルール(”complete bar”)はワーナー・ジェンキンソンの判決に反するというものであり、特許制度を傷つけるというものであります。それを反映して、Bork弁護士は口頭弁論でも、“[The Federal Circuit’s rules] fatally contradicts this court’s decision in Waner-Jenkinson, and … it radically undermines the patent system.”と述べています。

 

ヒアリング中に判事が言った内容のうち注目すべきものは以下のようなものです。

ワーナー・ジェンキンソンの判決中で述べられた”patentability”に関し、焼結側の弁護士がFederal Circuitはそれを§102及び§103に限定しなかったと述べた際に、Rehnquist判事は、“I dare say we’re in a better position to interpret out cases than the Federal Circuit.”と述べています。Kennedy判事は、Federal Circuitのルールが”very serious consequence”を起こすように思われるといって、問題の重大性を述べています。Breyer判事は、”the Federal circuit is supposed to be an expert in this”と述べ、この事件に関してはFederal Circuitは専門家と考えられると述べています。Scalia判事とGinsburg判事は、焼結の弁護士がワーナー・ジェンキンソンとフェストのルールが共存し得ると述べた際に、それには懐疑であると述べています。

 

以上のような状況を勘案すると差し戻しになるであろうというのが私も含めた大方の弁護士の意見です。

以下はあくまで私個人の意見(予想)です。私如き者が予想するのはおこがましいのですが大胆に予測してみます。なお、6月には判決が出るであろうと予想されていまので、実際の判決が余りにも予想と違った場合は、判決後にこの文を削除するかもしれません。

 

フェスト事件のCAFCの判決中で、CAFCはワーナー・ジェンキンソン事件も含めた過去の最高裁の判決を解釈しています。そして、過去の最高裁の判決からも”complete bar”が導き出せると述べています。一方、フェスト側のBork弁護士は、過去の判決は”complete bar”を支持していないと述べています。判決の解釈は微妙な部分がかなりあり、(個人的な意見としては)”complete bar”を支持するとも反対するとも取れる判決もあるのも事実と思います。Rehnquist判事は、ワーナー・ジェンキンソンで述べられた”patentability”の解釈の議論の際に、過去の最高裁判決の解釈はCAFCより最高裁が適していると言っているので、たぶん彼の中にCAFCの解釈に納得できないまたは疑問を呈する部分があったのではないかと予測できます。また、John Deer事件においても”patentability”という言葉が用いられていますが、判事がそれはなにかとNeustadt弁護士に質問し、Neustadt弁護士がそれは”prior art”と答えた際に”Yes”と述べています。当然の如く、過去の判決に対する最高裁の解釈はCAFCの解釈を拘束するものです。Rehnquist判事その他の判事も過去の最高裁の解釈という点では、法律論ですので、むやみにそのことを回避することもありえないだろうと予測されます。そうなると、ワーナー・ジェンキンソン事件だけではなくCAFCがフェスト判決中でした過去の最高裁判決の解釈に対して何らかのコメントをすると予想され、最高裁が示した解釈に基づいて再度、”complete bar”が適切であるか審理し直せとして差し戻しになると思われます。

 

最も重要な点は、Scalia判事とGinsburg判事が懸念しているように、ワーナー・ジェンキンソン事件との整合性、即ち2つのルールが共存できるかということです。この点は、CAFCの判決の中で、ニューマン判事が指摘していた点が最も重要な論点になると思います。ワーナー・ジェンキンソン事件では、補正について説明がない場合は、特許性(”patentability”)に絡んで補正したとの反論可能な推定(rebuttable presumption)が働くとされています。ワーナー・ジェンキンソン事件の中では、補正の理由が補正書の中に示されておらず、そのような推定が働き、結果として反論できなかったと、と言ういきさつがあります。ワーナー・ジェンキンソン事件とフェスト事件の整合性の問題に関しては、以下のような主張がそれぞれから出されました。フェスト側のBork弁護士は、ワーナー・ジェンキンソン事件では、特許性に関係して補正して発明主題を放棄した場合にのみ禁反言が働くといっているのに対し、CAFCは、補正に理由にかかわらず減縮した場合は禁反言が働き”complete bar”となると述べておりこれはワーナー・ジェンキンソン事件に反すると述べています。一方、焼結側のNaustadt弁護士は、ワーナー・ジェンキンソン事件で最高裁は、「過去に”Patentability”に関して”prior art”を用いてきたがそれに限定するものではない」と述べたと主張しています。政府側のWallace弁護士も、”prior art”を回避するための補正とそれ以外の目的の補正は別の問題を提示すると述べています。判事も質問の中で以下のように述べています。“I thought Warner-Jenkinson said where you do not establish any reason for the amendment, the Court did use the word presume. It said the Court should presume that the patent application has a substantial reason relating to patentability. And then the following sentence is, in those circumstances, prosecution history estoppel would bar the application of the doctrine of equivalents. So, that sounds to me like an absolute bar rule, that if you don't -- if the reason is unexplained, the consequence is a complete bar.” ワーワー・ジェンキンソン事件では、「補正について説明がない場合」の説明はどこを見るべきかについては明示はしていませんが出願経過と理解できます。一方、CAFCは、出願経過に説明がない場合は、”complete bar”が働くとしています。そして、フェスト事件においては、出願経過において明示の説明がない=”complete bar”になっています。つまり、反論できない(un-rebuttable)となっています。これでは、ワーナー・ジェンキンソン事件とフェスト事件のルールが共存できません。

 

ワーナー・ジェンキンソン事件では、(1)出願経過に説明がない;その結果、(2)特許性に関連して補正したとの反論可能な推定(rebuttable presumption)が働く;そして、(3)それに対して反論ができない場合は、禁反言が働き均等論の適用はない、となっています。ところがフェスト事件では先にも述べたように、出願経過において明示の説明がない=”complete bar”として反論可能な推定の議論を飛ばしています。そこで、私の予想ですと、最高裁は、「フェスト事件はワーナー・ジェンキンソン事件で示された手続きに従って法解釈を行っていない。」との理由により差し戻して、「ワーナー・ジェンキンソン事件で示された手続きに従って再審理せよ」となるのではないかと思っています。これでは最高裁は何も示さないことになるのですが、これがずばり私の予想です。できれば最高裁に、「補正について説明がない場合」の説明はどこを見るべきか、そして反論可能な推定が働いた場合、次に何を参考として反論の是非を検討すべきか、という点に関して具体的に示して欲しいと思うのですが、私の予想ではそんなことはしないと思います。(以下の議論がされることはありえないと思いますが、ご参考までに述べてみます。裁判において一般に検討される資料としては、内部資料(intrinsic evidence)として、クレーム、明細書、出願経過が、そして外部資料(extrinsic evidence)として、専門家意見等のそれ以外の資料があります。”flexible bar”においては、内部資料に加え外部資料が検討されて均等論の適用除外が決定されました。”complete bar”においては、出願経過のみが参照対象となりました。ワーナー・ジェンキンソンそしてフェストで言われていることに”notice function”があります。この”notice function”についても解釈に問題が残っていると思います。例えば、出願人が特許の許可通知後に提出して包袋中に放り込んだ資料は、出願経過には入りませんが第三者は閲覧可能です。つまり、公衆には通知されている内容となりますが、クレーム解釈等における出願経過には入りません。このような資料を用いて反論可能な推定(rebuttable presumption)を反論することができるかどうかについては、フェスト事件のルールを適用した場合は不可能ですが、”notice function”という点からは、第三者が閲覧できるのでフェスト事件がなければワーナー・ジェンキンソン事件からは可能です。既に特許となったものは、出願経過に資料をいれることはできないので、発行後に包袋に入れるしかありません。従って、このような資料をどのように使えるのかも将来問題となると思われるのですが、今回議論されることはありえないでしょう。)

 

次に、CAFCが行なっている法解釈手続きである、(1)減縮補正である否か;(2)減縮補正であった場合には出願経過中に説明があるか否かとの手法が、ワーナー・ジェンキンソン事件に反しないかという問題があります。ワーナー・ジェンキンソン事件では、(1)特許性に関わる補正であるか;(2)特許性に関わる補正であった場合には説明があるか、という手法になっており説明が無い場合に反論可能な推定が働いていました。つまり、CAFCは、減縮補正か否かで判断をしています。そして減縮補正でなければ”complete bar”は働かないというのがフェスト事件以降のCAFCの解釈です。これは明らかにワーナー・ジェンキンソン事件で示された手法とは異なるように見えます。政府の弁護士であるWallaceもこの点を指摘しており、また、焼結側のNeustadt弁護士も、「何故、減縮補正が特許性に関わる補正と言えるのか」という点をかなり厳しく判事より質問されていました。ところがこれは、もう一つの「特許性に関わる補正」の特許性は何を含むのかという解釈と複雑に関わっています。

もう一つの問題点である「特許性に関わる補正」の特許性は何を含むかについては、純粋にワーナー・ジェンキンソン事件の判決の法律解釈であり、Rehnquist判事が言っているように、過去の最高裁判決の解釈は最高裁がより適した解釈者であると言えるので、今回最高裁がその解釈を示すと考えられます。§102,及び§103と、§112の単なる形式要件だけなら別に扱うことに問題は無いように思われますが、焼結側のNeustadt弁護士も指摘するように、§112には実施可能要件等も含まれ、実施可能要件で拒絶されて減縮補正した場合は明らかにクレームしていた発明の主題の一部を放棄したと言えます。そうすると、§112の中のどの要件によるかによって取り扱いを変更しなければならず非常に複雑な問題となります。CAFCは、減縮補正という基準を設け、§112の単なる記載不備に関しては減縮でないという理由で均等論の適用を認めており、これに沿った判決もフェスト以降いくつか出ています。これはなかなか賢いやり方ではないか、というのが私の感想です。先に述べたCAFCの法解釈の手続きはワーナー・ジェンキンソン事件の手続に従っていないように思われるが、それを理由に最高裁がCAFCの判断を誤りとするためには、最高裁が「特許性に関わる補正」の特許性は何を含むかについて具体的に示す必要が生じます。個人的には、最高裁に明確に何がそれに含まれるかを示してほしいと期待していますが、§112に含まれる要件を区別していくのはかなり難しいと思われるので、CAFCの減縮補正か否かと言う手続きも含めてCAFCが示した特許法の全ての法定要件(§101, §102, §103, §112)との解釈を最高裁が支持するのではないかというのが私の予想です。Neustadt弁護士の主張は、弁護士(出願人)はクレームの減縮は通常したがらないので、減縮補正は通常特許性に関わる補正であるというものです。

 

先にも述べましたが、フェストにおいては、出願経過において説明がない=”complete bar”になっていますが、”notice function”という点からみれば、当業者がその補正をみてそれが特許性とかかわるか否かを判断して裁判所が結論を出したとしても、当業者には”notice”されているということもできます。この辺りも、最高裁が、何ももって”notice”とするかの解釈を示してくれることを期待するのですが、無いような気がします。

また、特許制度に対する影響も議論されています。フェスト側のBork弁護士は既に存在する120万もの特許に対する影響を主張しましたが、判事は、実際にどの程度の影響があるかを質問していました。一方、焼結側のNeustadt弁護士は、2000年のCAFCの特許侵害となり差し止めとなった事件31件のうち、27件が文言損害であり特許制度に対する影響はないと主張していました。この点に関しては、判事が述べた、弁護士が予測できないコピーに対して均等論が必要であるという点(”a small equitable exception in the instance where the lawyer really couldn’t really do anything about it, namely where it’s not foreseeable that this kind of really copied device is going to come about”)がキーになるような気がします。

 

最後に最高裁の判決は多分に、社会的要素(policy factor)が入り込みます。policy factorは、米国の経済状態の影響も大きく、以前米国の経済が悪化したときには、プロパテントに傾倒していきました。そしてここ10年位の米国の好景気を反映してか、最近のCAFCの傾向は特許権者に厳しくとなっています。しかし、昨年から(テロの影響もあり?)米国の経済が落ち込み始めています。そのような状況を考えると、もう一度プロパテントの傾向に傾き始めるかも知れません。法律論を除外した要素の点では、アンチパテント(フェスト事件)よりはプロパテントよりに行く、つまりフェスト事件のルールを制限する方向に行くのではないかというのが私の予想です。

いずれにしろ、6月ころでると思われる判決を待たないとなんともいえませんが、以上が私の予想です。ずばり、いくつかの点に関しては解釈を示し、ガイドラインを示すことになると思いますが、玉虫色に近い判決をしてCAFCに差し戻すのというのが私の予想です。

 

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Others(Topics) à 06/10/2001 更新

29. Judiciary created obviousness-type double patenting; One-way test vs. Two-way test

  Obviousness-type double-patentingの判断は2段階で行なわれる。第一は、先の特許のクレームと後の特許(出願)のクレームを解釈しその違いを決定することである。第二は、2つの特許の発明対象の違いが特許性を与える違いであるかを決定することである。後の特許のクレームが共有である先の特許のクレームに対して特許性がない場合は、double-patentingとなる。通常はこのように、後の特許のクレームが先の特許のクレームに対して特許性があるかどうかというOne-way testで判断がなされる。従って、先の特許がgenus claimで後の特許がspecies claimである場合は、通常特許性が認められdouble-patentingとはならない。

  ところが、特許庁の審査の進行のせいで、genus claimに係る特許が先に出願していたにも関わらず、species claimに係る特許より後になって特許される場合がある。このような場合に、One-way testを行なうと、genus claimに係る特許がdouble-patentingにより特許性なしとなってしまう。そこで、Two-way testが用いられる。つまり、後の特許のクレームが先の特許のクレームに対して特許性がなく、かつ、先の特許のクレームが後の特許のクレームに対して特許性がない場合にのみ後の特許がdouble-patentingにより特許性なしとされる。ただし、Two-way testが用いられるのは、出願人サイドに瑕疵がなく、PTOの都合で特許発行の順番が逆になった場合である。

 

Others(Topics) à 06/07/2001 更新

28. クレームされていない要件に関するベストモード

ベストモード要件に関しては、一般には、クレームされていない要件についてはベストモードは要求されない。しかしながら、物の発明の場合には、クレームされていない要件であってもベストモードの要求が課される場合がある。

一つは、クレームされた物を作る場合の、原材料や中間材料が新規物質の場合である。この場合は、材料であるその新規物質の合成手段に関してベストモードが要求される。また、原料等の品質によってクレームされている最終産物の品質が影響を受ける場合である。この場合、原材料が市販されていても発明者が良質の原材料の合成方法を知っている場合はベストモードが要求される。

その他にProduction Details Routine Detailsの問題がある。Production Detailsとは、クレームされた物質の製造方法を詳しく述べなければならないかということである。一般には、クレームされていない要件に関してベストモードは要求されないが、上記の例である新規物質を用いなければならない場合やクレームされた物の品質に関わる場合にはベストモードが要求される。また、Routine Detailsとは、当業者がルーティンの作業によりベストなものを見つけ出すことができる場合にも、ベストモードを記載しなければならないかという問題である。この場合は、ルーティンな作業で見つけ出せるものは当業者にとって明らかなものであるといえるのでベストモードは要求されない。

 

Others(Topics) à 06/03/2001 更新

27. ミーンズプラスファンクションの記載要件

ミーンズファンクションクレームは、§112、¶6に規定されており、構造等を直接規定せずにその機能でクレームを特定するというものであり、クレームの範囲は明細書に記載された構造(物質その他)及びその均等物である。それ故、クレームされた機能をサポートする構図等の記載が明細書中になければならない。従って、  もし、クレームされた機能に対応する構造が明細書中に記載されていない場合は、発明が不明確となり、§112, ¶2違反で特許は無効となる。

また、その構造等は、“incorporated by reference”の形式で記載することはできない。このように、ミーンズファンクションクレームの場合はクレーム中の機能に対応する構造が明細書中に記載されていなければならないが、明細書中に記載されているか否かの判断基準は、表面上(文言上)記載されているか否かではなく、当業者の視点から見て(つまり当業者に理解できるように)クレームされた機能に対応する構造が開示されているか否かである。

 

Others(Topics) à 05/30/2001 更新
26.Laches(懈怠)

Lachesとは、特許侵害との主張に対しての積極的な防御のひとつであり、特許権者(原告)が侵害の訴えを起こさないと被告に信じされたので、衡平法上の立場より原告は被告を訴える権利がないとする法理論である。

Lachesを主張するためには、特許権者の提訴が不合理にそして弁解の余地なく遅延しておりそしてその遅延が被告に重大な損害をもたらしていることを証明しなければならない。遅延の期間として決まった期間はなく、ケースバイケースで状況に応じて判断される。しかしながら、特許権者の提訴が、被告の侵害行為を現実に知った日又は知ったと推定された日から6年を超えていた場合は、lachesが推定される。ただし、この被告の侵害行為を現実に知った日又は知ったと推定された日は、特許の発行日より前になることはない。

 

 

Others(Topics) à 05/29/2001 更新
25.Equitable Estoppel

Equitable Estoppelとは、特許侵害との主張に対しての積極的な防御のひとつであり、特許権者(原告)が侵害の訴えを起こさないと被告に信じされたので、衡平法上の立場より原告は被告を訴える権利がないとする法理論である。

Equitable Estoppelを証明するためには、被告は3つのことを証明しなければならない。(1)原告が被告を訴えないと誤解させるような方法で原告がコミュニケーションを行った;(2)被告は、損害を与える原告の誤解を招く行為を実質的に信頼した;及び(3)もし訴訟が許されると、被告に重大な不利益をもたらす。ここで、(3)の被告に重大な不利益をもたらすとは、例えば、被告が製品を製造・販売するために多大な投資を既に行っている等です。

 

 

Others(Topics) -->05/21/2001 更新

24.Preambleの解釈

 一般にクレーム中のpreamble(前文)はクレームの限定要件を構成しない。しかしながら、すべての場合においてpreambleがクレームの限定要件にはならないというわけではなく、ケースバイケースで判断される。その判断基準は以下の通りである。

 preambleが単に発明の意図した使用や目的(”mere purpose or intended use of the invention”)を示しているに過ぎない場合は、クレームの限定要件とはならない。Pitney Bowes Inc. v. Hewlett-Packard Co., 182 F.3d 1298, 51 USPQ2d 1161,1166 (Fed. Cir. 1999)

 しかしながら、それ以外の場合、つまりクレームに意味を与える場合(gives “meaning to the claim”)は限定要件となる。Perkin-Elmer Corp. v. Computervison Corp., 732 F. 2d 888,896,221 USPQ 669, 675-76 (Fed. Cir. ), cert. Denied, 469 U.S. 857, 225 USPQ 792 (1984). 

 また、方法特許において、方法の新たな使用が特許性を有する場合は、その使用は限定要件を構成する。Bristol-Myers Squibb Comp. v. Ben Venue Lab., Inc. (00-1304, Fed. Cir. April 20, 2001)

 

 

05/10/2001 更新
23.Mootness と Vacatur
 連邦裁判所で事件が争われるためには"case or controversy"(憲法Article III)がなければならず、またこの要件はどの段階の裁判所においても、つまり下級及び上級裁判所のいずれの段階においても要求される。U.S. Bancorp Mortgage Co. v. Bonner Mall Partnershoip, 513 U.S. 18, 21 (1994))。従って、裁判の継続中に両者の間に和解が成立した場合、つまり両者の間に争いがなくなった場合は裁判は"moot"となる。だが、侵害訴訟での非侵害との決定や或いは侵害であるとの和解は、反訴として出された特許無効との確認判決の争点をmootとするものではない。Cardinal Chem. Co. v. Morton Int'l Inc., 508 U.S. 83, 99-101 (1993)。
 当事者は、Rule 60(b)(6)のもとでvacaturを提出して判決の取り消しを求めることができる。従って、特許権者と侵害者の間で和解が成立した場合は、両者にとって特許無効との判断は好ましくない場合がある。そのため、無効との決定後で判決が確定する前に和解が成立した場合は、当事者が無効との判決の取り消しを求めることが考えられる。しかしながら、vacaturが認められるのは特別な場合であり、判決(この場合は特許無効との判決)からの救済を求める当事者(この場合は侵害したと訴えられている者)が自発的行為により事件をmootにした場合に限られる。Bancorp, at 24。それ故、特許無効との判決が出た後で判決の確定前に和解契約が成立しその中で特許無効の判決の取り消しを求めるとの規定した場合は、特許権者の契約を結ぶという行為により侵害者と訴えられたものが特許の有効性についての争う利益がなくなったのであるから、侵害者と訴えられた者が自発的に事件をmootとしたとは言えず、vacaturは不適当である。Aqua Marine Supply v. AIM Machining, Inc., (00-1409, 04/19/2001, Fed. Cir. 2001)。

 

05/06/2001 更新
22. ベストモード(Best Mode)
 特許法第112条第1パラグラフは、「発明者は、発明を実施するのに最良と思われる態様を明細書に記載しなければならない」と規定している。35 U.S.C. §112, ¶1 (A patent specification must set forth the "best mode contemplated by the inventor of carrying out his invention.")。ベストモードの要求に違反すると特許は無効とされる。
 ベストモードの要件を具備しているか否か、そして具備せずに特許は無効であるか否かの判断は、2つの質問からなる。2つの質問共に事実認定に関するものである。一つ目は、発明を実施するのに最良の態様(ベストモード)を、特許出願時において発明者が知っていたか、ということでありこれは主観的判断基準である。2つ目は、もし発明者が発明を実施する最良の態様(ベストモード)を知っていた場合は、当業者に過度の実験を要求することがないように十分に詳細にベストモードが記載されているか、ということでありこれは客観的判断基準である。第一の質問に対する答えが“イエス”で第二の質問に対する答えが"ノー"の場合ベストモード違反として、特許は無効とされる。

従って通常は、発明者がベストと思うものを開示しなかった場合は、ベストモード違反となって特許は無効とされる。

しかしながら、Mentorの事件では発明者が“ベスト”と思っていたものを開示しなかったが、裁判所は、ベストモードの要求は特許の出願前に成された全てのプロトタイプのそれぞれについての詳細な開示を強要するものではない、としてベストモード違反とはしなかった。(Mentor v. Medical Device Alliance, Inc. (99-1532, 00-1165, Fed. Cir. 04/09/2001))。しかしながら、これはベストと考えているものを開示しなくても大丈夫、ということを示しているのではないことに注意されたい。原則、ベストと思ったものを開示しなければベストモード違反となります。Mentorの事件の場合には、プロトタイプのいくつかの改変について被告が発明者に質問をし、発明者から“そう改変することが”ベスト“と思ったからそのような改変をした”という証言を得て、それを根拠にベストモード違反との主張をした。しかし裁判所は、出願人に要求されるのは、クレームされていない要件が発明を実施するのに必須である場合にそれを開示しなければならないと云うものであって、発明者がその要件が発明の実施に必須のものであると考えていない場合つまり、その要件が単に望ましいと考えていたに過ぎない時点では、それを開示しなくともベストモード違反とはならないとした。この事件の場合は、発明者のテクニシャンが実際問題となった回路を開発したので、発明者は出願前にはその要件(回路の詳細な説明)が発明の実施に必須であると思うことはなかったという特殊な事情があったと思われます。

(私見)発明者からすれば、“ベスト”と思わなければ改変などしないので、“ベストを思ったから改変したのではないのですか?”と質問されれば“イエス”としか言いようがないと思います。そうなった場合に、特許権者が逃げるひとつの可能性をこの事件は示していると思います。

 

04/20/2001 更新
21.Claim Preclusion in Patent Case (特許事件における請求遮断効)
 
既判力の一つに claim preclusion という概念がある。これは、実体的事項に関して最終的な判断(判決)が下された場合は、同じ訴訟上の請求や防御に関しては同じ当事者間で他の訴訟を起こすこと(維持すること)はできないとする法理である。See Restatement (Second) of Judgments, §§ 18-19. 従って、特許訴訟において最終判断(判決や和解)が下された場合は、同じ当事者間で同じ請求や防御(つまり、特許侵害の主張や特許無効の抗弁)を再び争うことはできない。
 このclaim preclusionのもと、侵害者は将来の争いにおいて問題となった特許のクレームの有効性を争う権利を放棄することになるかという問題がある。つまり、侵害者の同じ製品に関してはclaim preclusion の法理より特許の有効性を争えないということに議論は無いが、侵害者の他の製品への侵害訴訟に関してもclaim preclusionの法理より特許無効の主張は許されないのかという問題が生じる。これに関して、裁判所(CAFC)は特許訴訟における特別なルールを作った。それは、訴追されている装置が、(同意判決や和解により)侵害と認めた先の装置と"実質的に同じ("essentially the same")"ものであった場合のみ、つまり、装置の変更が特許のクレームの限定要件と関係ない場合のみ、後の争いにおいて特許無効等の主張が許されないというものである。従って、装置が実質的に同じでなければ、侵害に関する訴因が異なり特許の有効性に関して再び争うことができる。Hallco Manfacturing Co., Inc. v. Foster, (99-1458, 04/09/2001, Fed. Cir. 2001)(citing Foster v. Hallco Manufacturing Co., 947 F.2d 469, 20USPQ2d 1211 (Fed. Cir. 1991))。
 もちろん、同意判決や和解契約の中で、特許の無効性に関して将来再び争うことができるとの明示の規定があれば、装置が実質的に同一であるか否かは関係なく無効性を再び争うことが可能である。なお、claim preclusion に関しては、同意判決と和解は同じ法的効果を有する。

 

04/19/2001 更新
20. 訴訟で一度無効と判断された特許を有効利用(再度権利行使)する手段はあるか
  米国の特許訴訟においては、裁判所において特許の有効性も判断される。従って、裁判所において特許が無効と判断された場合、既判力("res judicata")によりその訴訟の当事者間では特許の有効性の争点は二度と争えない。しかし、裁判所による無効との判断によって特許庁に登録された特許権が抹消されるわけではない。では、無効とされた特許権者が、同じ特許権(無効と判断されたクレーム)を主張して別の相手の製品に対して特許権の侵害を訴えることができるかという問題がある。米国においては各州の地裁が同位に位置するので、ある地裁の判断が他の地裁の判断を拘束する力は持たない。(もちろん。CAFCで無効と判断されれば、CAFCは特許事件に関して各州の連邦地裁の上級裁判所であるのでCAFCの判決は各州の連邦地裁に拘束力を持つ。)従って、例えばNY州の連邦地裁で特許が無効と判断された場合に、CA州で別の被告を相手に同じ特許権で特許権侵害を主張できるかという問題がある。NY州の連邦地裁の判決はCA州の連邦地裁の拘束力を持たないので、NY州の特許無効の判決のみからCA州においても特許無効とはされない。しかしながら、NY州での判決は特許庁に登録されまたNY州の判決内容は参照できるのでCAでの被告は同じ主張をすることが可能である。また、無効の根拠となった争点が同じであ れば、先の裁判において充分にそして公平にその争点は争っていたとして、通常は争点効("collateral estoppel")により無効との判断について再度争うことはできない。更に、憲法により各裁判所は他の裁判所の判決を尊重するように定められている(Article IV, Section 1)ので、よほどNY州での審理に瑕疵が無い限りはCAにおいても特許無効との判決となるのが通常である。従って、州や相手を変えても特許権の行使は困難となる。
  しかしながら、再発行により無効理由を除去し、再発行特許に基づいて権利行使することは可能である(35 USC §251)。但しこの場合は、再発行特許の権利は再発行の時点からとなり、また介在権が生じる可能性のあることに注意されたい(35 USC §252)。

 

04/18/2001 更新
19. 技術分野の専門家意見 
 発明の技術分野の専門家による専門家証言が裁判で行われることがよくあるが、証言者は事実のみについて証言でき法的な結論に関しては証言できない。特許訴訟の場合はクレームの範囲の決定は法的事項であるので、そのような専門家はクレーム範囲そのものを証言でもって助言や意見することはできない。しかしながら、技術分野の専門家として発明をどのように理解するかという観点で裁判官や陪審を補助することはできる。Pitney-Bowes v. Hewlett-Packard Co., 182 F.3d 1298, 1309, 51 USPQ2d 1161, 1168 (Fed. Cir. 1999); Cybor Corp. v. FAS Techs., Inc., 138 F.3d 1448, 1456, 46 USPQ2d 1169, 1174 (Fed. Cir. 1998)(en banc)

 

04/16/2001 更新
18.連邦地裁での特許侵害訴訟とITCでの337条輸入差し止め請求の同時係属
 特許侵害に関しては、損害賠償や差し止めを求めて連邦地裁に提訴できる。一方、その侵害製品が米国内に輸入されているものであればITCに337条の輸入差し止めを求めることができる。いずれの訴訟においても、訴えられた者は、特許の有効性や不公正行為等のその他の防御を主張することができる。また、ITCにおいても、ディスカバリー等の裁判所と同様の手続きが行われる。従って、両者が同時に係属した場合は、一方が他方の手続きを停止できるか、という疑問が生じる。
 ちなみに、ある地裁と他の地裁の裁判が同時係属した場合は、通常先に提訴された方の地裁において審理が行われ、後に提訴された方の地裁は、提訴を却下する。
 CAFCは、特許事件に関して連邦地裁及びITCのいずれの控訴裁でもある。CAFCは、「特許権者は、地裁とITCの両方に、特許を侵害している製品を輸入している侵害者を訴えることができる」と述べている。Texas Instruments Inc. v. Tessera, Inc., 231 F.3d 1325, 1330 (Fed. Cir. 2000)。従って、地裁は、ITCの手続きを停止する権限は持たない。
 一方、地裁は、当事者から要求があった場合は、ITCの手続きが完了するまで地裁の手続きを停止しなければならない。28 U.S.C. §1659(a)("In a civil action involving parties that are also parties to a proceeding before the U.S. ITC under §337.., at the request of a party …., the district court shall stay, until the determination of the Commission becomes final, proceedings in the civil action with respect to any claim that involves the same issues…")  
 それ故、通常は当事者の要求がない限りは、地裁及びITCの両方の手続きが同時に進行し(もちろん、何らかの理由により地裁又はITCが自身の手続きを停止することは自由である)、もし当事者の一方から要求があった場合は、重複する争点(重複する特許)に関しては地裁の手続きが停止する。
 なお、ITCでの特許に関する決定は、地裁に対して既判力(res judicata)や争点効(collateral estoppel)を持たない。Texas Instruments Inc. v. Cypress Semiconductor Corp., 90 F.3d 1558, 1568-69 (Fed. Cir. 1996)。

 

04/15/2001 更新
17. デザイン特許と機能性
 
デザイン特許は、装飾物(つまり、ものの装飾性のある外観)に与えられる。一方、ものの外観が機能性のみを有している場合は、デザイン特許の対象にならない。同様の機能を成す他の形態が取れないものに、独占権を与えるのは不適当であるとの配慮である。同様の考え方がトレードドレスにもあり、機能性のみを有する場合はやはりトレードドレスの対象にはならない。機能性のみを有するか(機能本位であるか)否かの一つの判断手法は、クレームされたデザインの外観がモノの使用や目的によってのみ決められたものであるかということである。もしそうであればそれは機能性のみであると判断される。 また、機能性の判断は、それぞれの要素が機能的であるか否かの判断も関係あるが、問題は全体として機能的かどうかという点である。
 もし、同様な機能を多数の別の方法(デザイン)で達成できるのであれば、そのことは問題となっているデザインが装飾的なものであるという示唆になる。一方、同じ機能を達成できる他のデザインがなく或いはそれが非常に費用のかかるものである場合は、それは機能的であるという一つの証拠である。
 なお、デザインが機能的か装飾的かは法律問題である。

 

03/22/2001 更新
16.トレードドレスと機能性、トレードドレスと特許対象物
 物品の形状が認識力を有する場合、すなわち形状が2次的意味を持つ場合は、商標法(Trademark Act)のもとでトレードドレスとして保護される。例としては、飲料水のボトルの形状などを挙げることができる。しかしながら、その形状が機能的である場合はトレードドレスの保護対象となならない。それは、認識力とは関係のない部分で競合者を著しく不利な状況に置くことを法は求めていないとの考えによる。
 機能的であるかどうかは、「そのデザインが製品の使用や目的に必須のものであるか又は製品の品質やコストに影響するものであるか」という基準で判断される。つまり、デザインそのものを真似ることなく、製品デザインの機能的特徴をコピーすることができる場合は、そのデザインはトレードドレスとして保護される。そうでない場合は、機能的であるとされる。
 最高裁は、機能的であるデザインにトレードドレスの保護を与えると、「競合者を、評判に関係ないこところで著しい不利な状況におくことになる」と述べている。しかしながら問題となるのは機能性であるか否かという点であり、いったんそのデザインが機能性であるということが確立した場合は、競合者が代替品を用いることができるか否かということも、そのデザインが2次的意味を持つか否かということも機能性の判断とは関係ない。
 また最高裁は、特許の対象となっていることはそのデザインが機能性であることを示す"強い証拠"であり、更に(特許の権利期間中に)問題となったデザインをカバーしている特許について権利者が特許侵害訴訟を起こすことや、特許の明細書中の記載や、出願経過もデザインが機能性であることを示す"追加の強い証拠"となりうると示している。
 特許の対象となったデザインでも特許の権利期間の満了後には2次的意味(認識力)を有すればトレードドレスの保護対象にないうるか、或いは特許法の保護対象となったものはトレードドレスの保護対象から除外されるかという議論がある。控訴裁判所間で意見は分かれているが、これについての最高裁の判断はまだ出ていない。

 

03/13/2001 更新
15.発明の発想(Conception of Invention)と発明